法人成りした後の個人事業の引継ぎ

会社は、設立日から個人事業を自動的に引き継ぐ
と、お考えの個人事業主様が、多いように感じます。
しかし、これは大きな誤解です

まず、基本的な事項から整理してみましょう。


会社の設立日、とは?

これを再確認していただくだけで誤解はかなり解けます。

会社の設立日とは、会社の設立登記の日です。

では、設立登記の日とは、いつを指すのか?

これは、設立登記の申請をした日です。具体的には、法務局に設立登記の申請書類一式を持ち込んだ日です。

すなわち、会社の設立日といっても、法務局に登記申請の書類を提出しただけで、まだ、会社としての体をなしていないのです。

具体的には、

・商業登記簿に登録されていない
  → 登記簿謄本をとれない
・会社代表印が登録されていない
  → 印鑑証明書をとれない

その結果、

会社名義の預金口座を開設することが出来ない
会社として契約行為をすることも難しい

これでは、法人として事業をすることなど不可能です。まだ、会社としての体をなしていないわけです。


いつから、会社としての体を成すのか?

法人の設立登記申請後の、おおまかな流れとしては、次のようになります。

  法務局へ設立登記の申請書類を提出(会社の設立日)
     
      約5営業日後
     
  補正事項(修正すべき事項)の有無を確認
     
      補正事項がなければ、登記完了
     
  会社登記簿謄本と代表印の印鑑証明書の入手が可能に
     
      登記簿謄本を銀行に提出、その数日後に
     
  銀行に法人名義の預金口座を開設できる


会社が事業をする主体として現実的に機能しうるのは、会社設立日よりもかなり後になってから、ということを理解していただけたと思います。

すなわち、冒頭に書いた、
「個人から法人に事業が引き継がれるのは、会社設立の日である。」
というのは、全くの誤解なのです。

法人成りした後、いつから事業が引き継がれるのか?

会社は、個人事業を、いつ引き継ぐのか、の結論です。

では、いつから引き継がれるのか?

まず、結論を申し上げます。

いつからでも良いのです。

「えっ?」と思われそうですが、本当です。

会社の設立登記が完了し、銀行に会社の預金口座が開設されたとしても、それは、法人として事業を運営していく受け皿が出来上がっただけ、です。

要は、個人事業主自身が「この日より法人として事業を行う」と決めた日、から、会社としての事業がスタートします。

例えば、外部に対してアナウンスをした日。
「○月○日より法人に事業を移行します。」的なアナウンス(挨拶状など)をした場合の、その指定日ですね。

あとは、店舗等の賃借人名義を個人から会社に切り替えた日、とか。

個人事業主が、ご商売に最も都合の良い日を、自由に決めればよいわけです。

いつでも良いわけですから、「会社設立の日から」でも勿論かまいません。

ただし、脱法・脱税を意図して、移行日を調整するようなことは、もちろん論外です。


法人設立届の事業開始年月日

会社設立後に税務署に提出する書類に、「法人設立届出書」というのがあります。
この書類の中に、「事業開始(見込み)年月日」を記載させる欄があります。

この点については、あくまでも「見込み」ですので、あまり厳密に考える必要はありません。

設立登記の日以降の支出は? / 法人成り後の引継ぎ

会社設立までの間に、設立のためにした支出は、全て、設立後の会社の負担になります。

たとえ、その資金が、個人事業主様の財布から出ていた場合も、個人が会社に代わって、立替払いをしただけです。

会社設立後、会社として事業を開始するまでの支出も同様です。
事業を開始する準備のための支出は、全て、会社の負担となります。

以上の2つの支出は、個人の事業所得には関係のないものです。
立て替えて支払った資金は、後日、会社から返してもらえばよいのです。

会社の最初の事業年度は、いつから始まる? / 法人成り後の引継ぎ

設立初年度の事業年度は、「会社の設立日」より開始されます。
この点も、引き継ぐべき日は設立の日、という誤解を生む原因の1つです。

これは、あくまでも、「会社の会計帳簿を作成し始める日」という意味しかありません。

設立前にした支出(個人が立て替えた設立準備の支出)は、設立の日、つまり、帳簿の開始日に、まとめて帳簿に記載します。

設立後、実際に事業を開始するまでの支出は、個人が立て替えたものも含めて支出した日に記帳します。

設立日 = 最初の事業年度の開始日 = 会計帳簿の作成を開始する日

と考えて下さい。 事業の開始日、云々、という問題とは切り離して考えていただいて結構です。


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