社会保険の構成 / 法人成りの実務

社会保険等とは、社会保険と労働保険の2つです。

さらに、社会保険は、健康保険と厚生年金保険とに分かれます。
また、労働保険は、労災保険と雇用保険とに分かれます。

整理すれば、次のようになります。


  社会保険等

    → 社会保険
       → 健康保険
       → 厚生年金保険

    → 労働保険
       → 労災保険
       → 雇用保険


健康保険は「協会けんぽ(旧 政府管掌保険)」と組合保険等に分かれるのですが、今回は触れません。「協会けんぽ」分のみを対象にします。

ここでは、社会保険を単独で指す場合、「社会保険」と標記し、社会保険と労働保険を含めた標記については、「社会保険等」と呼ぶことにします。末尾に「等」が付いているか否かで、話の対象が異なりますので、ご注意下さい。

各々の保険の仕組みや個人のケースとの違いは、当サイトをご確認下さい。
http://www.houjinka.jp/category/1164290.html


今回は加入手続についてのみ触れます。

社会保険の加入手続をするための役所 / 法人成りの実務

社会保険への加入は、実は結構、面倒なものなのです。
手続を煩雑にしている最大の原因は、それぞれの保険を管轄している役所が異なることです。

それぞれの窓口はというと、


社会保険

社会保険は、健康保険と厚生年金保険の両方を、年金事務所(旧 社会保険事務所)が管轄します。

会社所在地を管轄する年金事務所が、窓口になります。

次の日本年金機構のサイトから、管轄する年金事務所が探せます。
  http://www.nenkin.go.jp/office/map4.html

個人の国民年金と国民健康保険のように、ご自宅がある市町村の市役所が窓口になるのではない点、ご注意下さい。


労働保険

これは、労災保険と雇用保険とで、窓口が異なります。

労働保険の場合、個人事業の場合であっても、従業員を雇用する限り加入義務があります。
したがって、従業員を雇用されている個人事業主様は、既に労働保険に加入しておられるはずですが、法人成りすることによって、新たに、法人として加入し直すことになります。


労災保険

事業所の所在地を管轄する労働基準監督署が、窓口になります。
次の厚生労働省のサイトから、管轄する監督署が探せます。
  http://www.mhlw.go.jp/general/sosiki/chihou/

たとえば、

大阪府でしたら、
 次のページで、管轄する労働基準監督署を探し
  http://www.mhlw.go.jp/general/sosiki/chihou/kijun/osaka.html
 次のページで所在地と連絡先を調べます。
  http://www.mhlw.go.jp/general/sosiki/chihou/ichiran/osaka.html

各都道府県には労働局というのがありますが、各労働局のサイトから探す方が、わかりやすいかもしれません。

たとえば、

大阪府でしたら、大阪労働局のサイトから、
http://www.osaka-rodo.go.jp/kyoku/kantoku/kantoku.php
兵庫県でしたら、兵庫労働局のサイトから、
http://www.hyougo-roudoukyoku.go.jp/infomation/info_kantokusho/info_kantokusho.htm

労災保険の場合、会社ではなく事業所という単位を用いています。

本社と支店がある場合は、本店と支店それぞれが事業所になります。
例えば、数店舗の店舗を経営する会社の場合、本店と各店舗それぞれが事業所となります。

労災保険で、気をつけなければならないのが、事業所ごとに加入しなければ意味がないことです。もし、ある店舗で労災対象になる事故があった場合、その店舗が労災保険に加入していなければ、労災保険が適用されません。

必ず加入するようにしましょう。


雇用保険

これは、言わずとしれた公共職業安定所、別名、ハローワークが窓口です。

厚生労働省のサイトから管轄するハローワークを探せますが、労災保険と同様、各都道府県の労働局のサイトから探すほうが、ページが見やすいようです。

たとえば、

大阪府でしたら、大阪労働局のサイトから、
 http://www.osaka-rodo.go.jp/kyoku/hello/osaka.php
兵庫県でしたら、兵庫労働局のサイトから、
 http://www.hyougo-roudoukyoku.go.jp/infomation/info_hellowork/info_hellowork.htm

各役所への届出の順序 / 法人成りの実務

各役所への届出には順序があります
役所周り(巡り?)には、一定の順序があるのです。

どこからでも、例えば会社から近い順に手続きすればよい、というわけではありません。
一定の順番で手続をしていかないと、二度手間になってしまいます。


  労働基準監督署(労災保険)

     

  ハローワーク(雇用保険)

     

  年金事務所(社会保険:健康保険と厚生年金保険)


の順に手続をしていく必要があります。


もう一つ注意すべきことは、労災保険と雇用保険は、加入時に3月分までの保険料を前払いする必要がある点です。たとえば、今年の5月に加入手続きした場合、来年の3月分までの保険料を加入時に納める必要があります。

納付先は、労災保険料と雇用保険料ともに、労働基準監督署です。
したがって、ハローワークは書類を提出するだけです。

一方、社会保険は、毎月末の納付になります。

労働基準監督署での手続 / 法人成りの実務

労働監督署での労働保険の加入手続きを簡単にまとめてみました。

まず最初に行くのが、労働基準監督署です。
手続きは、非常に簡単です。

持っていくもの

・会社の商業登記簿謄本(発行後3ヶ月以内のオリジナルとコピーを各1通)
  → オリジナルは、手続き終了後に返してくれます。

・従業員台帳のコピー
  → 作成する必要があります。
    決まったフォームは特にないのですが、A4用紙に、
    従業員の氏名、住所、生年月日、入社日そして簡単な業務内容を
    記載すれば充分でしょう。
    履歴書のコピーを添付する例が多いようです。

・会社代表印


現地にて

「保健関係成立届」および「保険料申告書」という書類に記入し提出します。


保険料の納付

労働保険は、加入月から3月までの保険料を、前払いする必要があります。
「保険料申告書」というのは、その納めるべき保険料の計算書です。

保険料は、加入時から3月末までの、給料等の見積総額に保険料率を乗して計算します。

たとえば、5月1日に加入したケースで考えます。
従業員の給料が、月30万、賞与が夏冬の2回で各々30万円ずつとします。

来年の3月までに従業員に支払う給料等の総額は、
 給料 30万円 × 11回 = 330万円
 賞与 30万円 ×  2回 =  60万円
総額は、390万円になります。

これに、毎月の通勤手当も含めるのですが、ここでは無視します。

で、この給料総額に、労災保険と雇用保険の保険料率の合計 2.4%を乗じた、93,600円が納めるべき保険料です。

保険料率は、一定の業種を除き、同じです。
給料の多寡によって、増減することもありません。

この保険料を、労基署の窓口で納付するか、振り込みます。
ただし、納付後でなければ、次のハローワークには行けません。ご注意を!


役員は労働保険に加入できないが

社長さんはもとより、従業員兼務役員以外の常勤役員は、労働保険に原則加入できません。

しかし、業務中の事故等にあう可能性は、従業員さんと同様です。
そこで、労災保険のみに関しては、特別に加入できる道が開かれています。

興味のある方は、労基署へお問い合わせ下さい。

雇用保険は、全く、加入する余地はありません。

ハローワークでの手続 / 法人成りの実務

労働保険料の納付が終われば、次に向かうのがハローワークです。
「雇用保険適用課」という窓口を訪ねましょう。
こちらも手続きは簡単です。


持っていくもの

・会社の商業登記簿謄本
  → 労基署と同様です。

・従業員台帳のコピー
  → 労基署へ出したものと同一

・会社代表印

・事務所を賃貸している場合は、「賃貸借契約書」
  → オリジナルを持っていきます。
    コピーした後に返却してくれます。

・出勤簿(従業員)
  → これも適当に作成して下さい。
    「出勤したらカレンダーに丸を付ける」なんてものでも、受け付けて
    くれます。

・保健関係成立届と保険料申告書および保険料領収書(または納付書の控え)
  → 保健関係成立届と保険料申告書は、労基署で作成したもの。
    保険料の領収書(もしくは納付書の控え)も持っていきます。
    保険料を支払ったことを、証明しなければなりません。

・事業所の略図
  → 地図をコピーして、赤丸をつければOKです。

なお、従業員を新規に雇用し、その方が再就職の場合、その方がお持ちの「受給者証」が必要です。


現地にて

次の書類に必要事項を記載します。

・雇用保険適用事業所設置届
・資格取得届(従業員ごと)

年金事務所での手続 / 法人成りの実務

最後に、社会保険の加入手続です。
一番面倒なのが、この社会保険です。

法人であれば、たとえ従業員がいない社長の1人会社でも、加入する必要があります。


持っていくもの

必ず事前に、所轄する年金事務所にお問い合わせ下さい。
ここでは、標準的なもののみを揚げてあります。

労基署、ハローワークと大差はありません。
違いだけを書きます。

・会社の商業登記簿謄本(発行後3ヶ月以内のオリジナルを1通)
  → オリジナルを提出する必要があります。(返してくれません。)
    結果、加入手続きに必要な登記簿謄本の部数は、最低1通です。

・賃金台帳(直近までのコピー)・・・加入前に給与を支払っている場合
  → 源泉所得税の金額も記載して下さい。

・会社の現金と銀行預金の出納簿(直近までのコピー)

・加入前に源泉税を納めている場合は、納付書のコピー

・税務署、府県税事務所および市町村への法人届出書
  → 次のサブカテゴリーを参照願います

・保健関係成立届および雇用保険成立届
  → 労基署とハローワークで作成し、押印してもらったものです。

・加入者の年金手帳
  → 加入手続き時は健康保険証は不要です。


現地にて

つぎの書類を作成します。(最小限必要な届出書です。)

・成立届
・資格取得届


アドバイス

役員や従業員に扶養家族がいらっしゃる場合、その扶養家族の区分によって、必要書類が変わってきます。
また、提出する書式も増え、内容的にも盛りだくさんとなります。

それゆえ、事前に窓口で確認されることをお勧めします。


保険証は、何時もらえるのか?

手続きが完了した後、年金事務所から「保険証完了届」という書面が届きます。それを、年金事務所に持参して下さい。
新しい健康保険証との引換券のようなものです。

また、国民健康保険の保険証は、新旧2通の保険証を、個人の住所地の市役所等に持参し、切り替え事務を依頼すれば完了です。


法人成りに関するお問い合わせは、こちらからどうぞ。