営業債権と債務を、どう引き継ぐか / 法人成りでの引継ぎ

営業債権、債務とは

営業債権とは、商取引の結果生じる債権のことです。
具体的には、売掛金や未収入金などをいいます。

請求書発行時点、厳密には、買い手が検収し納品確認した段階で、販売代金は債権として成立しています。
営業債権は、代金の入金と同時に消滅します。


営業債務は、債権と全く逆のケースです。自分が買い手の場合です。
物やサービスを受け取ることで発生し、代金を支払った時点で消滅します。


どう引き継ぐか?

個人的には、営業債権と債務は、引き継がないことをお勧めしています。
引き継がないとは、法人に対して、現物出資も売却もしない、ことです。

理由は2つあります。

引継ぎには、取引先に対する個別の通知が必要

個々の取引先に対して、債権債務を引き継いだことを、書面にて通知しなくてはなりません。
債務の場合は、通知だけでは足りず、相手先(債権者)の承認が必要になります。

これは非常に面倒です。


取引先を混乱させる可能性がある

特に、営業債権を引き継いだ場合、この可能性が高くなります。

お得意様は、請求書に記載されている、個人事業者の名称や屋号、振込先口座と違う、別の銀行口座へ振り込まなくてはなりません。

個々の事業者によって状況は異なるでしょうが、お得意様に煩わしい思いをさせることは、絶対に避けなくてはなりません。

引き継がずに、どう処理するか / 法人成りでの引継ぎ

債権や債務を、法人に引き継がなければどうなるか?
これらは、個人事業主に残ったままになります。


個人事業に残しておいて、どうする?

個人事業者として取引をしたものは、個人名義で請求書を発行し、個人で入金します。
支払についても同じ。個人での取引については個人で支払います。

その結果、次のようなケースが出てきます。
対応策を簡単にまとめておきます。


その1
個人で取引し、個人名義で請求書を発行してにもかかわらず、請求金額が、会社の口座へ振り込まれた。


本来、個人が受け取るべきものを、会社が受け取ったわけですから、会社から個人に返金してもらいます。

会社は、取引先から入金があった時点で、預り金や仮受金として処理します。
個人に返金した時点で、その預り金や仮受金は消えます。

個人は、会社へ入金された時点で、営業債権を、預け金などの勘定科目に振り替えます。会社から返金を受けた時点で、預け金は消滅します。


その2
会社で取引し、会社名義で請求書を発行してにもかかわらず、請求金額が、個人の口座へ振り込まれた。


こちらの例の方が、多いようです。

その1.とは逆に、本来、会社が受け取るべきものを、個人が受け取ったわけです。それゆえ、個人は、取引先から入金された金額を、会社に返す必要があります。

会社は、取引先から個人に対して支払いがあった時点で、その分の売掛金を減額すると同時に、個人に対する預け金として処理します。
個人から返金を受けた時点で、その預け金は消えます。

個人は、取引先からの入金を預り金として、一旦、計上します。
会社に返金した時点で、預り金は消えます。

これで、無事終了です。


その3
個人で購入したにもかかわらず、請求書の宛名が会社になっていた。


請求書の宛名は無視して、個人で振り込めばよいでしょう。
振込む前に、先方に連絡だけはしておいたほうが良いと思います。
会社は、特別な経理処理をする必要はありません。

請求書を再発行してもらえば、後々の税務調査などで、問題になることもありません。

再発行してもらえない、もしくは頼み辛い場合は、宛名を訂正しておきましょう。
その際は、こちらで訂正したことが、後々もハッキリと分かるように訂正すべきです。
あくまでも、先方の誤りなのですから。


その4
会社で購入したのに、請求書が個人宛になっている。


債権と同様に、こちらの例の方が、多いようです。

請求書の宛名は無視して、会社で振り込めばよいでしょう。
その3.と同様、振込む前に、先方に連絡だけはしておいたほうが良いと思います。

個人は何の処理も必要ありません。

請求書を再発行してもらえば、後々の税務調査などで、問題になることもありません。

再発行してもらえない、もしくは頼み辛い場合は、宛名を訂正しておきましょう。
その際は、こちらで訂正したことが、後々もハッキリと分かるように訂正すべきです。
あくまでも、先方の誤りなのですから。


取引主体の切り替えは?

個人の取引から、法人の取引に切り替わるのは、いつからか?という問題。
以前に何回か書きましたが、会社が現実に事業を開始した時点、からです。




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