法人成りに際して、社長の給料は、どうやって決めるべきか?

個人事業では、事業主に対する給料というものは存在しません。それゆえ、法人成りに際して、社長(事業主)の給料というのは、いままで経験したことのないテーマになります。

社長の給料を、いくらにするか? どの程度が妥当か?

法人成りをお考えの個人事業主にとっては、頭を悩ます問題です。

節税という点で考えれば、儲けを全て社長の給料にするのがベスト です。
社長(=事業主)の給与所得控除を最大化することが、最も効果的な節税方法ですから。詳しくは、こちらのカテゴリーをご確認下さい。


実は、そう簡単ではない

事業の儲けを、全て社長の給料にする。
これは、「言うは安し、行うは難し」の典型かもしれません。
給料を決めるには、向こう1年間の儲けを予想する必要があるからです。

1年間の儲けを予想して給料を決める、というのは、実に至難の業です。よほど安定した業態でない限り、予想通りの結果が出ることは希でしょう。

予想以上に利益(儲け)が出て、社長の給料が少なすぎた場合、会社に利益が残り、それに対して法人税が課税されます。

逆に利益が少なすぎた場合、社長に給料を支払えば、会社は赤字になります。
いくら給与所得控除が使えるとはいえ、社長個人が余計な所得税などを納める結果になります。


とりあえずの目安は

過去の実績を利用するしかないと思います。しかも直近の実績です。

直近の所得税申告書を、ご覧になって下さい。所得税青色申告決算書という書類が、あるはずです。
その書類中の、青色申告特別控除を差し引く前の金額が、事業による儲けの金額です。
これを基に今年の儲けを予想して、社長の給料を決めましょう。


まずは、売上を予想します。

売上の予想が立てば、売上に比例して増減する経費の予想が出来ます。
業種によりますが、代表的なのは売上原価です。(仕入ではない。)

固定費、つまり売上に関係なく支払う必要のある経費は、同額のはずです。
これは、従業員さんの給料や、家賃の類です。


直近の実績をもとに、将来の予想をする。
実は、これも決して簡単ではありません。しかし、それ以外に方法が無いのも事実です。

どうしても予想不能な場合は、思い切って、直近の実績(利益)を、社長の給料、とすれば如何でしょうか。

銀行から借入をする場合は要注意です / 法人成りする際の社長の給料

1年間の儲けを予想したうえで、社長の給料を決める。
その際、特に注意が必要な点があります。

当初の予想より、利益が少なかった場合を考えて下さい。
この場合、予定した給料を社長に支払えば、会社は赤字になってしまします。

しかし、銀行から借入をしている、もしくは予定しているような場合は、赤字は絶対に避けるべきです。借入条件が悪くなったり、借入そのものが出来なくなる可能性があるからです。

ゆえに、予想利益を少し抑え気味にして、社長の給料を決めるべきです。

目一杯節税したいからといって、赤字になってしまえば何にもなりません。
銀行と良いお付き合いをするには、赤字は御法度、とお考え下さい。

社長にボーナスを出してはいけない / 法人成りする際の社長の給料

次のように、お考えになる人も多いのではないでしょうか?
「儲けを予想するのが難しければ、給料は低く抑えておいて、追加でボーナスを出せばいいのでは?」

それが出来ないんです。
実は、これは非常に重要なポイントなのです。


社長のボーナス(役員賞与)は経費にならないのです。

経費にならない、というのは、法人税を計算する際に経費と見なしてもらえない、という意味です。専門用語で、損金にならない、といいます。この後、経費にならない、といった場合、この、損金にならない、という意味で使っていると解釈して下さい。


二重で課税されることになる

社長のボーナスが経費にならなければ、

■ 会社
役員賞与は経費にならないため、その分、利益が増えて課税されます。


■ 社長
受け取ったボーナスには、所得税が課税されます。


つまり、会社が法人税を課税されるだけでなく、社長個人にも所得税が課税されます。二重課税という、非常に酷なことになってしまうのです。
従業員さんへのボーナスが、何の問題もなく経費になるのと大違いです。

給料は低く抑えておいて、追加でボーナスを出そうとは、決して考えないで下さい。


少し余談になりますが、経費にならない理由を簡単に書いておきます。興味がない方は、とばして下さい。

役員の賞与は、従業員の場合とは違い、利益処分と見なされます。利益処分とは、配当金の支払いなどに代表されます。これらは経費にはなりません。課税された後の余剰(残った儲け)からの支払い、だからです。


では、役員の給料と賞与について、もう少し深く検討しましょう。



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