個人事業の法人成りで、よくあるご質問集(FAQ集)

法人成り専門サイトを立ち上げて以来、多くの個人事業主様より、法人成りに関するご質問をいただいております。
また、当サイトのコンテンツの増加にともない、ご自身が必要とする情報がどこにあるのか解りづらい、といったお叱りも多く頂戴しています。(申し訳ありません・・・)

そこで、今までに頂戴した多岐にわたるご質問のうち、お問い合わせが多いものを、このカテゴリーに集約しようと考えています。


□■ 法人成りでよくあるご質問リスト □■
(以下のコンテンツは、順次、作成していきます。)


法人成りは、通常の会社設立とどう違うのか?
  ・・・ 法人成りとは具体的にどんな手続きなのか?

法人成りに向かない業種があるのか?
  ・・・ 不動産賃貸業などは法人成りに向かないのか?

逆に、法人成りに向く業種は?
  ・・・ デザイナー、プログラマーやコンサルタントなどは?

法人成りを検討しているが、まだ早いだろうか?
  ・・・ 所得が少ないうちは、法人成りすべきではないのか?

法人成りして、どんなメリットとデメリットがあるのか?
  ・・・ 資金的なメリットとデメリットのみに終始せずに・・・

設立する会社の資本金は、どれくらいが妥当か?
  ・・・ 1円でも株式会社は設立できますが・・・。

設立する会社は、株式会社の必要があるのか?
  ・・・ やはり、株式会社を選択されるケースが多いです

家族にも出資させることができるか?
  ・・・ 逆に、ご自身でどのくらい出資すべきか、の問題です。

個人事業主が代表取締役になる必要はあるか?
  ・・・ 税務署は、形式ではなく、実質で判断します。

法人成りすると、なぜ節税することができるのか?
  ・・・ 法人化すれば節税できる、という本当の意味は?

法人成りすると、社会保険に加入する必要があるのか?
  ・・・ 社会保険コストを、どのように考えるか。

会社設立時に出資した資金は、ずっと使えないのか?
  ・・・ 資本金(出資金)とは、どういう資金なのか?

出資金は、会社の口座へ入金する必要があるのか?
  ・・・ 会社設立前に出資金を使ってしまう人が多いようです。

会社の設立日に、個人事業を廃業する必要があるのか?
  ・・・ 会社は、設立日から活動を開始できるわけではありません。

個人事業で使用している機械や備品を出資できると聞いたが?
  ・・・ 現物出資をするメリットは、かなり薄れています。

法人成りした後、社長(事業主)の給与はどう決めればよいのか?
・・・ 社長ほか役員の給与については、最大の注意点があります。

法人成りしたら、個人名義の契約を全て会社名義にする必要があるのか?
・・・ 名義の変更が出来ない、または困難な契約もあります。

個人事業の在庫は、どうなるのか?
・・・ 法人へ移しますが、「移しかた」には要注意です。

個人で複数の事業をしているが、全てを法人に引き継ぐ必要があるのか?
・・・ 事業内容の類似性により判断します。

法人成りをした後、個人事業に戻ることは可能か?
・・・ 「個人成り」という言葉も存在します。

法人成りは、通常の会社設立とどう違うのか?

「法人成りと、通常の会社設立は、どう違うのか?」 というご質問を頂戴することがあります。
この場合の「通常の会社設立」とは、起業等にともなう会社の設立のことです。

「法人成り」、「法人化」あるいは「法人なり」と、表現方法は様々ですが、個人事業の法人成りとは、基本的に、次の2つのプロセスからなります。

1.新しい会社を設立する
2.その会社に個人で運営していた事業を移す


たとえば、会社員が起業するに際して会社を設立する場合、新会社を設立すれば起業準備は完了です。
その後に、事業に必要な商材や備品、機械などの資産を購入したり、リース等の契約をします。
事業資金の借り入れが必要になることもあるでしょう。
いずれにしても、ゼロから事業をスタートさせるわけですから、新会社に移すべき既存の事業、というものは存在しません。

一方で、個人事業の法人成りの場合、新会社を設立する点は、起業のケースと何ら変わりません。ただし、個人で営んでいた既存の事業があるため、その事業を新会社に引き継ぐというプロセスが必要となってくるのです。

引き継ぐ事業の具体的な中身は何か?
それは、個人事業において所有していた、または生じた、資産や負債のことをいいます。

代表的なのは、在庫や、備品、車両、機械などの個人事業での所有物。
これらは、目に見える資産です。
目に見えない資産もあります。
売掛金や未収入金といった営業債権がその代表です。

反面、個人事業には負債もあるはずです。
事業資金の借入や、未払金・買掛金といった営業債務がそれです。

また、リース契約なども個人の名義で契約されているはずです。
事務所を賃借されている場合は、不動産賃貸借契約も該当します。
取引先等との基本契約などは、最重要な契約事項でしょう。

これらを、新しい会社に引き継ぐわけです。

ただし、これらを全て、新会社に引き継ぐということではありません。
・引き継ぐべきものと、引き継がないものの区分
(会社に移すべきものと、個人に残すものの区分。)
・引き継ぎのタイミング
(いつ引き継ぐのがベストか?)
・引き継ぎの価額
(いくらで引き継ぐべきか?有償か無償か?)

この点の見極めが、法人成りでは重要です。

・個人から会社へのスムーズな事業の移行
・税金面で最も有利な方法とタイミングの選択


法人成りの実務では、この2つが大きなキーポイントとなります。


事業の引き継ぎに関する詳細は、こちらのカテゴリーにてご確認ください。


法人成りに向かない業種というのがあるのですか?

「法人成りに向かない業種」というのは、特にありません。
ただ、法人成りに際して、かなり事前の検討が必要になる業種はあります。
たとえば、不動産賃貸業などは、その代表例でしょう。

個人で不動産賃貸業を営まれている場合、賃貸用の土地・建物は個人名義です。
法人成りに際しては、必ず、この賃貸用物件を法人に移す必要があります。
賃貸用物件を法人に移すことで、賃貸収入が法人の収入になります。
この収入から、社長にお給料を支払うことができます。

「法人成りによる節税」を取り扱ったページでも述べていますが、事業主の「事業所得」や「不動産所得」を「給与所得」に変えることで節税が可能になります。
そのためには、収入の源泉である賃貸用物件を法人所有にする必要があるのです。


ここで問題になるのが、賃貸用物件の譲渡により多額の譲渡益がでる場合です。
税務上、不動産の譲渡価額は、譲渡時の時価であることが求められます。
法人成りに際しても例外ではありません。

賃貸用物件を現物出資しては?という知恵者がいらっしゃるかもしれません。
しかし、残念なことに、税務上は、現物出資も譲渡の一種として扱われます。

「時価」とは、簡単に言えば「相場」です。
(「簡単に言えてないぞ!」というお叱りの声が聞こえてきそうですが・・・。)
「その不動産の相場はいくらか?」は、税務署にも、誰にも、わかりません。
したがって、いくつかの目安を元に決定します。
路線価評価額や固定資産税評価額などが、その代表例です。


不動産の譲渡益は、売値(=時価)から帳簿価額を差し引いた金額です。
帳簿価額は、建物の場合は未償却残高、土地の場合は購入価額です。

建物の未償却残高は、把握し易いだろうと思います。
個人の確定申告で、「減価償却」という計算をされているはずだからです。

問題は土地です。
購入価額が、はっきり解らない、というケースは珍しいものではありません。
その場合、税務上の特例を利用して譲渡益を計算するのですが、ほぼ例外なく、多額の譲渡益が生じます。


多額の譲渡益に課せられる税金の問題を、いかにクリアするか。
これが不動産賃貸業者の法人成りにおいて最大のネックになります。

また、個人の不動産賃貸業者が賃貸用建物を譲渡した場合、消費税の課税対象になります。
この問題も、クリアにする必要があります。
(土地の譲渡は、消費税が非課税のため、この点については関係ありません。)


このように、不動産賃貸業者が法人成りされる場合、賃貸用物件の譲渡から生じる税金の問題が大きなハードルになります。


■□■

もう一つ、法人成りに際して、注意を要する業種をご紹介します。
宝石・貴金属商です。
宝飾品は、1点あたりの価額が高価なケースが多いため、これらを法人に移す際には、事前にしっかりと計画をたてる必要があります。

無計画に移すと、個人に対して、多額の課税がなされます。


法人成りに向く業種というのは、あるのか?

「法人成りに向く業種は何ですか?」という質問も多くいただきます。

特に法人成りに向く業種、というのは無いと考えます。
ただ、法人成りがスムーズにいく業種、すなわち、個人事業から法人へスムーズに事業の引き継ぎができる業種というのは、存在します。

具体的な業種でいうと、
・デザイナー
・プログラマー
・コンサルタント
・翻訳家
・カメラマン
などが、それに該当します。(例外は有りますが。)

これらの業種に共通している点は、事業で使用する設備機器等が少額である、という点です。
主だった設備といえば、OA機器が中心でしょう。

パソコンを例にとれば、値段が安く、かつ、減価償却する際の耐用年数は4年と短いです。
また、小規模事業者に対しては、購入年度に一時に減価償却できる(=経費処理できる)特例がある関係で、OA機器の未償却残高(帳簿価額)は、全て合わせても僅か、というケースが多いようです。

未償却残高(帳簿価額)が少額のものは、法人に引き継いでもメリットはありません。
法人に移さずに、個人所有のままにしておくほうが賢明です。
それらのOA機器を法人の事業で使用しても、特に問題はありません。

大型の複合コピー機などは、それなりの値段がしますが、リースにされている例が多いのではないでしょうか。
リースの場合は、契約名義人を個人から法人に変えるだけで、引き継ぎは完了です。


結局、法人成り、すなわち個人から法人への事業の引き継ぎがスムーズに行えるのは、移すべき事業用の資産や負債が少ないケースということになります。

製造業や飲食業でも、生産設備や厨房機器の大部分はリース、というケースが多々あります。
こういった場合、自己所有の事業用資産は僅かですので、法人成りはスムーズでしょう。


法人へ移すべき資産や負債が多いか否か。
この点が、法人成りがスムーズに運ぶか否かを決めます。

移すべき資産・負債が多い場合でも、事前に移し方やタイミング、価額を入念に検討しておくことにより、法人成りに支障を生じさせないことが重要です。

法人成りを検討しているが、まだ早いだろうか?

「法人成りを考えているんですが、まだ早いでしょうか?」

よくあるご質問です。
メール等で質問するといった行動には至らずとも、同様の懸案を持っている人が多い気がします。

このご質問にある「まだ早い」が、何を意味するのかは、人によって若干の差があるようです。
この部分をよく見極めてからお答えを返すよう、いつも意識しています。

ザックリとしたお話になりますが、この「まだ早い」には、2種類あるようです。
1.事業所得が少ないので、法人成りしてもメリットが無いのでは?
2.事業規模が小さいので、個人事業で充分では?
2.と同じ趣旨になりますが、開業して間もないので・・・というケースもあるでしょう。

私は、いつも同じことをお伺いします。
「会社にしようかな、と考えたきっかけは何ですか?」

色々なお答えが帰ってきます。
きっかけが分かれば、お話の方向性をつけやすくなります。
結局のところ、その人が、法人成りに何を求めておられるか、です。

非常に嬉しくなるお話を聞けることがあります。
「将来のことを考えたら、会社にしたほうが良いかな。」
「事業を大きくしようと思えば、会社にすべきかな。」

ご自身の事業を成長させたい、発展させたいという気持ち。
私は、その人の事業に対する熱い思いを感じます。
もう、嬉しくなってしまいます。
何とか、この人の役にたちたいと熱望します。

個人事業のままで良いと考えている人は、自分の事業に対する思い入れが無い、という意味ではありません。
個人事業でも事業を成長・発展させることは可能です。
ただ、法人成りは、その熱い思いを具現化するための、行動の一つだと思うのです。

事業の成長・発展を念頭に法人成りを考えるのであれば、事業所得が小さい、規模が小さい、開業して間もない、といった点は、考慮すべき事項ではないと思うのです。
「まだ早い」ことなど、決してないのです。

法人成りを煽っているわけではありませんよ。

法人成りして、どんなメリットとデメリットがあるの?

個人事業を法人成りすることのメリットとデメリット。
当サイトを通してのお問い合わせの中で、最も多いご質問です。
しかも、資金的な側面が最大の関心事のようです。


まずは、メリットについて。

資金的なメリットでいえば、節税効果が期待できることでしょう。
節税効果は、事業所得が大きければ大きいほど、高い効果が期待できます。
事業所得が小さいケースでも、小さいなりに節税効果は享受できます。
なぜ節税になるのか?については、「法人成りで節税」のカテゴリーを参照ください。

念を押しますが、これは法人成りすることの「資金面でのメリット」です。
また、資金面でのメリットは、この節税効果だけでしょう。


つぎに、デメリットです。

これも資金的な側面でのお話になります。
資金面でのデメリット、すなわちコストアップとなる点は、諸々あります。
その中で大きいのは、社会保険への加入会計事務所への報酬でしょう。


個人事業では、一定の事業所を除き、国民健康保険と国民年金保険に加入されています。
これが、法人成りすれば、健康保険と厚生年金保険への加入が義務づけられます。
ここでいう健康保険とは、全国健康保険協会(協会けんぽ)が管掌する健康保険のことで、平成20年9月以前は、政府管掌保険と呼ばれていたものです。

保険料は、国民健康保険と国民年金に比べて高額になります。

健康保険料も厚生年金保険料も、給与に応じて決まります。
給料が高くなるにつれて、保険料も上昇します。
完全に比例して上昇するわけではありませんが、給料に比例するとお考え下さい。

この保険料は、本人と会社が折半します。
半分を本人が負担し、のこり半分を会社が負担します。
しかし、個人事業を法人化したケースでは、会社負担分も個人(事業主)で負担しているのと、実質的に変わらないケースが多いのではないでしょうか。


もう一つのコストアップ要因は、会計事務所に対する報酬です。

個人の申告と異なり、会社の決算・申告となると専門家に頼らざるを得ないケースが多くなると思います。
個人の所得税・消費税申告の場合は、確定申告相談会など、行政による無料サポートがあります。
これが会社になると、このようなサポートが殆ど期待できなくなります。

会社の決算と税務申告は、個人のそれと比較して、高い専門知識が必要になります。
これを、ご自身でこなせるか?は、時間的な余裕の度合いなど、個々人の環境によるでしょう。


資金的な側面以外でも、メリットはあります。

メリットといえるか否か微妙ですが、法人成りを決心された原因で多いのが、取引相手から法人成りを勧められたから、というものです。

新しい取引先を紹介してもらったら、
「うちは、会社じゃないと取引はできない。」と断られた。
または、取引金額に制限を付けられたり、不利な決済条件を提示されたり。
といったお話は、よく耳にします。

「社会的な信用性」ということでしょう。
どんな会社でも信用性が高い、ということは、当然ありません。
逆に、個人であっても、高い信用性を得ている事業者は、多数、いらっしゃいます。

ただ、大企業や中堅企業が新たな取引先の可否を判断する際、与信管理というフィルターに通します。
まずは、形式的な基準を設けて、基準を満たさない事業者を除外します。
全てを実質判定するのは非効率なため、予め用意した形式基準で「ふるい」にかけるわけです。

その、形式基準に含まれることが多い項目が、「法人組織か否か?」という質問です。
形式基準ですので、基準を満たさなければ、何ともなりません。

個人事業は、会社と比較して信用性に劣る、と考える風潮があるのが事実です。
形式的な基準を考えるのは、取引相手です。
基準をクリアするために法人成りをする、というケースも多いのです。


資金的なメリット・デメリットだけではなく・・・

一つ前のページで書きましたので、2度は書きません。
私の個人的な考えです。

仕方がないので、渡辺の個人的な考えを読んでみる

設立する会社の資本金は、どれくらいが妥当か?

設立する会社の資本金を、どれくらいの金額にすべきか?
妥当な金額というのは、業種や業態によって決まるものではないと思います。

判断の基準となるような点が、いくつかあります。


まず、資本金が小さいことで、事業の足を引っ張られる可能性があるか否か。
言い換えれば、貴方の事業にとって、資本金の金額が対外的な重要性を持つか否か。

一般的に、新たに取引を行おうとする場合、その会社(取引相手)の登記簿謄本を入手します。
そして、登記されている事項を確認します。
本店所在地や役員構成、そして過去の変更登記の履歴、などです。
資本金の金額にも、当然に注意を払うでしょう。

資本金の金額が、その後の取引条件等に影響を及ぼすケースがあります。
資本金が小さいことが、取引金額の制限に結びつくこともあるでしょう。

当事務所のお客様で、大口の仕入先から、「資本金の金額までしか、掛け売りはできない。」と言われた、という話を聞いたことがあります。

もし、そのような危惧が無いという場合は、資本金の金額は気にする必要はないでしょう。
極端なケースですが、1円でも、問題ないと思います。


対外的な問題が無い場合、資本金は小さい方がよい、と思います。
理由は、次の3点です。


1.資本金は返してもらえない。

そもそも、資本金とは何か?
専門書を読むと、難しい理屈が並んでいます。
それは横へ置いておいて、こう考えては如何でしょうか。

資本金は、新しい会社の当面の活動資金である、と。
当面の活動に最低限必要な金額でよい、と。

資本金(出資金)は、会社から回収することができません。
出資後、その資金は会社のお金となります。
個人(出資者)から借り入れている訳ではありません。

出資者が資本金を私的な理由で持ち出した場合、出資者は、そのお金を会社から借り入れたことになります。
会社の帳簿には、出資者に対する貸付金として記録されます。
資本金の払い戻しには、なりません。

そのため、資本金を大きくせず、必要が生じた際には、個人から必要額を借り入れれば良いのです。
借入金(個人からすれば貸付金)は、当然に返済することが必要です。
個人が会社に資金を入れる場合は、出資という方法より、貸し付けの方が、後々、柔軟に出し入れが可能です。


2.税金面を考えると小さい資本金が有利です。

会社は、たとえ赤字であっても、納めるべき税金があります。
法人住民税の均等割り、という税金がそれです。
この税金は、資本金額と従業員数で納税額が決まります。

資本金が1千万円までの場合、納税額は7万円です。(年額)
1千万を越えると、納税額は18万円になります。
(従業員数が50人以下と仮定しています。)


3.消費税では要注意です。

新しい会社を設立した場合、設立後の2期間は、消費税が免税となります。
たとえ2期間だけとはいえ、法人成りのメリットと捉える人もいらっしゃるでしょう。

ただし、この免税措置には、ひとつ大きな条件があります。
資本金が1千万円未満であること、です。
1千万円以上の場合、免税とはなりません。

消費税の2期間免税を考えた場合、資本金は必ず1千万円未満にする必要があります。

詳細は、こちらのページでご確認ください。( 新しいウィンドウで開きます。 )


繰り返しになりますが、資本金が小さくても問題ないのは、資本の金額が対外的に重要ではないケースに限られます。

設立する会社は、株式会社の必要があるのか?

法人成りするにあたり、設立する会社は株式会社がよいのか?
または、会社の種類は何が良いのか?

平成18年5月の商法改正で、有限会社が設立できなくなり、代わりに合同会社という会社形態が出てきたことで、混乱されているケースが多いようです。

いま設立できる会社の種類は、次の4種類です。
1.株式会社
2.合同会社
3.合名会社
4.合資会社

3.と4.は、お勧めしません。
理由は、出資者が、会社の債務に対して、無限責任を負うからです。
合名会社は全ての出資者が、合資会社は特定の出資者が無限責任を負います。
株式会社や合同会社では、出資者は出資金を限度とした有限責任を負うのみです。

ただ、銀行から融資を受ける際、代表者が連帯保証人になるケースが一般的です。
その点では、実質的な差は無いのかもしれません。
しかし、全ての会社債務に対して当初より無限責任を負う、合名・合資は避けた方が良いと考えます。


次に合同会社を検討してみます。
株式会社との差は色々とありますが、法人成りの観点から見れば、次の2点が重要でしょう。


1.設立費用が安い

株式会社の設立に比べて、合同会社なら、約14万円安く設立できます
公証役場で行う「定款の認証」という手続きが不要で、登録免許税(登記印紙代)が9万円安いからです。


2.役員の任期の定めがない

設立費用の問題より、こちらの方がメリットとしては大きいでしょう。

株式会社の場合、役員の任期は最長でも10年です。
任期が過ぎれば、役員に変更がない場合でも登記が必要になります。
登記には3万円が必要です。
合同会社には「役員の任期」が無いため、3万円払って登記する必要がありません。

実は、登記費用の問題ではありません。
任期を覚えておく必要がない、という点でメリットがあります。
任期を過ぎているにもかかわらず登記しなければ、ペナルティーが課されます。
合同会社では、そのリスクがありません。


株式会社との差は、他にも色々とありますが、法人成りにおいて検討すべきは、この2点くらいでしょう。


税金や社会保険に関しては、株式会社であれ、合同会社であれ、全く差はありません。
どちらも同じ取り扱いがされます。

上述の合同会社のメリットに大きな魅力を感じられる場合は、合同会社を検討されてはいかがでしょうか。


私の考え方を書いておきます。

会社の種類は、必ず社名に併記されます。
「株式会社 ABCD」
「合同会社 ABCD」 として。

名刺、封筒、看板や表札、Webサイト、などなど。

「うちの場合、商売は屋号でするから、会社名は表に出ない。」
という人もいるでしょう。

そうでしょうか?

銀行口座は会社名で開設します。
注文書、納品書、請求書などの書面にも会社名が出るのではないでしょうか。
登記簿にも、もちろん会社の種類が記載されます。

会社の種類は、取引先の目に必ず触れるのです。
それを念頭において、判断されるのが良いと考えます。

「合同会社」という名称を使った場合、対外的に何か影響がでるか?
この点を、よく検討すべきです。

合同会社は、西友が移行した影響か、マスコミへの露出度が徐々にあがっています。
しかし、世間の認知度、という点では、まだまだ低いのではないでしょうか。

その点を勘案したうえで、会社の種類を決めて下さい。
合同会社が良くない、といっているのでは決してありません。
「対外的な影響」を考慮したほうがよい、という意味です。


合同会社は株式会社に移行することが可能です。

とりあえず、合同会社にしておいて、将来的には株式会社に、というケース。
それなら、最初から株式会社を選択されることをお勧めします。

移行するには、再度、登記が必要になります。
登記費用は、決して安くはありません。



ご家族にも出資させることが可能か?

会社設立にあたり、出資が必要になります。
株式会社を例にとると、新会社が発行する株式を引き受けること、すなわち、資本金を負担することを出資といいます。
出資者 = 株主、のことです。

法人成りにあたっては、
・事業主が全て出資する必要があるのか?
・家族にも出資させることは出来るのか?
といったお問い合わせが、多く寄せられます。


結論を言うと、出資比率(出資の負担率)は、設立時に自由に決めることができます。
事業を手伝っていた奥様やご子息に、出資させることは、自由です。

ただし、新会社に多額の事業用資産を引き継ぐケースでは、少し注意が必要です。
引き継ぐ資産の所有者が事業主の場合、事業主から、出資したご家族へ贈与した、という税務署の認定を受ける可能性があります。

不動産を引き継ぐ、といった場合、不動産の評価額によっては、多額の贈与税を課される可能性があります。


ご家族に出資させ、かつ、多額の資産(たとえば不動産など)を会社へ引き継ぐケースでは、必ず、事前に専門家に相談されることをお勧めします。

個人事業主が代表取締役になる必要はあるか?

法人成りとは、個人で営んでいた事業を法人(会社)へ引き継ぐことです。
それゆえ、設立した法人の代表者には、個人事業主が就くことになります。
これが、最も自然な流れだと思います。

ただ、世の中は、人それぞれです。
色々な事情で、自身(事業主)が代表者になるのはチョット問題がある、というケースもあるようです。

最も多いのが、本業が会社員で、副業で個人事業を営まれていた、というケース。
勤務先の就業規則の関係でしょう。
代表取締役というわけにはいかない、というご相談があります。

なかには、個人事業時代から、奥さんを事業主として申告されていた例もあります。
これは、税務上、正しい申告とはいえません。


いつも申し上げることがあります。
それは、税務は、形式ではなく、実体(実質)で判定する、という点です。

税務署は、形式上(表面上)、誰が事業主か、誰が代表者になっているか、には重きを置きません。
実質的に、実体として、事業主、もしくは代表者は誰か、で課税関係を判定します。

たとえば、奥さんを社長、ご自身(真の事業主)は一般の従業員ということで、会社をスタートさせたとします。
奥さんには、毎月、役員報酬を支払います。
個人は、給料をとりません。無給です。
これで、勤務先には、ご自身のサイドビジネスは、バレません。

しかし、奥さんが全くの形式上の社長で、経営には一切ノータッチだったら・・・。
税務署は、奥さんに支払っている役員報酬を、真の代表者の給与として認定する可能性が高いです。
修正申告、ということになれば、勤務先にもサイドビジネスの存在が知れることになります。

くれぐれも、安易な調整をされないことをお勧めします。

法人成りすれば、なぜ節税できるのか?

法人化すれば、なぜ節税できるのか?
お問い合わせの中で、最も多いご質問です。

詳細は、専門カテゴリー「法人成りで節税」のページをご参照いただくとして、ここでは、エッセンスと考え方を述べます。

節税できる理由は、2つあります。
1つ目は、給与所得控除の利用です。
そして、2つ目として、個人と法人の税率構造の違いです。


1−1.給与所得控除とは?

まずは、給与所得控除とは、何でしょう。

これは、会社員などの、給与所得者にのみ認められる特別な控除です。
個人事業者は、この控除を利用することができません。
なぜなら、個人事業者の所得は事業所得であり、給与所得ではありません。
個人事業主の場合、自己への給与という概念はなく、儲け(自己の取り分)は、事業所得ということになります。

それが、個人事業を法人化することによって、事業所得から給与所得へと、事業主の所得区分が変わるのです。

個人事業者の所得の計算方法を思い浮かべて下さい。
年間の売上から、仕入代、従業員の給与や諸経費を差し引いた残りが、事業所得です。
これは言ってみれば、個人事業主の取り分(儲け)です。

この事業所得から各種の所得控除を差し引いた残りが課税所得(=課税の対象)になります。
所得控除とは、社会保険料控除や生命保険料控除、扶養控除、基礎控除などです。

一方、会社員などの給与所得者の場合は、どうでしょう。
彼らの儲けは、会社から受け取る給与です。
これが、個人事業者の儲け(=事業所得)に該当します。

各種の所得控除は、会社員も個人事業者も全く同じです。違いはありません。

では、会社から受け取った給与から所得控除を差し引いた残りが給与所得か?
違うのです。

会社員などの場合、さらに、給与所得控除という特別な控除が差し引かれます。
その、差し引いた残りが、課税対象になります。

個人事業者の課税所得は 
= 事業所得 − 所得控除

会社員などの課税所得は
= 給与総額 − 所得控除 − 給与所得控除


1−2.個人事業主が社長になれば

個人事業を法人化すれば、事業主は社長になります。
社長といえども会社から給与をもらう身、立派な給与所得者です。
給与所得者であれば、大手を振って、給与所得控除を利用できます。

少し粗っぽい仮定の話をします。
個人事業の事業所得と、法人化した後の給与総額が等しいと仮定します。
先の算式を思い出してください。

個人事業主の課税所得は 
= 事業所得 − 所得控除

法人化して社長になった場合の課税所得は
= 給与総額 − 所得控除 − 給与所得控除


この算式で、事業所得 = 給与総額 だったとしましょう。
(給与所得ではありませんよ、給与総額です。)
法人化して、事業所得、すなわち事業の儲け、を全て社長に給与で支払ったと仮定しましょう。

社長(事業主)個人にとっては、給与所得控除の分だけ課税対象が小さくなります。
一方、会社から見れば、儲けを全て給与で支給するため、会社に利益は残りません。
課税所得はゼロ円です。


この給与所得控除の利用が、法人化で節税できる最も大きな理由です。

平成23年4月5日現在、民主党が今国会に提出中の税制改正案には、給与所得控除の利用を一部制限する法案が含まれています。民主党の国会運営と、先の東日本大震災との影響により、税制改正法案の行方は全く分かりません。
当サイトでも、税制改正の行方について、注意深く見極めてまいります。


2−1.個人と法人の税率構造の違い

法人化による節税策の2つ目が、個人と法人の税率構造の違いを利用する方策です。
ただし、これを利用できるのは、所得レベルが高い場合に限られます。

個人の所得税の税率は、累進税率と呼ばれる構造をもっています。
すなわち、課税所得が増加するにつれて、高い税率が適用されます。

一方、法人が納める法人税の税率は、固定税率です。
課税所得の増減に関係なく、一定の固定税率が適用になります。
ただし、一定の中小法人については、年800万円までの課税所得については、軽減税率が適用される特例があります。

ここでは、個人は累進税率、法人は固定税率と覚えてください。


2−2.税率構造の差を、どう利用するのか

1.の給与所得控除の説明の際、会社の儲けを全て社長の給与で支払う、と述べました。
すなわち、儲けを全て給与で支払って、会社に利益を残さない、と。
それにより、給与所得控除を最大限に利用できる、と。

ただ、法人化した後、会社の利益が増えるに応じて、ずっと社長の給与を増やし続けることは、実は得策ではないのです。

個人は累進税率、法人は固定税率とのべました。

最初は、個人の税率が、法人の税率を下回ります。
しかし、個人の課税所得が増加するにつれて、個人に適用される税率も高くなってゆきます。
そして、いずれ、税率が逆転します。

社長の給与を増やしていけば、いずれ、会社に利益を残した方が有利になる所得レベルに到達します。
個人の税率が、法人の税率を上回る所得レベルに到達するわけです。
そうなれば、もう社長の給与は増やさずに、会社に利益を残して、会社で納税する方が有利です。

ただ、その所得レベルは、個々人によって異なります。
各種の所得控除の金額が、個々人で異なるからです。

ここでは、いつまでも給与所得控除に頼った節税を考えるのではなく、一定の所得レベルで、昇級を止める方が有利であることを、覚えておいてください。


法人成りすれば、必ず社会保険に加入する必要があるのか?

個人事業の場合、社会保険への加入は任意となっています。そのため、個人事業では、国民健康保険と国民年金というケースが圧倒的に多いのではないでしょうか。

しかし、法人成りすることによって、社会保険への加入が強制されます。
社会保険とは、健康保険(協会けんぽ)と厚生年金保険の双方をいいます。

実は、個人事業の場合でも、社会保険への加入が義務づけられる場合があります。
一定の事業を行う事業所(事務所)で、常時5人以上の従業員を使用するケースです。
一定の事業とは、製造業、運送業、物品販売業、土木建築業、清掃業、その他の事業をいいます。

これに対して法人の場合、無条件で社会保険に加入する義務を負います。
社長の1人会社(従業員ゼロ)の法人であっても同じです。

保険料その他については、こちらのページで詳細をご確認ください。

会社設立時に出資した資金は、ずっと使えないのか?

会社設立時に出資した資金は、会社からみれば資本金です。

資本金を、「会社が常にキープしておくべき資金」と解釈されている人がいます。

しかし、それは、大きな誤解です。

 

資本金とは、設立後、当面の活動資金に充てるべきお金です。

いってみれば、軍資金のようなものです。(例えが悪いかな?)

売上などの入金があるまでの期間は、資本金で必要な支払いを行います。

 

したがって、会社設立後、資本金は自由に使うことができます。

 

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出資金は、会社の口座へ入金する必要があるのか?

会社が設立される前に、出資金を使ってしまう人が多いようです。

 

会社が設立されて、会社名義の預金口座を開いても、入金すべき資金がない。

昔であれば考えられないケース( *1 )ですが、今では、よくある話になってます。

 

設立登記の際には、法務局に、発起人名義の預金通帳のコピーを提出する必要があります。

出資金相当額の払い込み(入金)があったことを証明するためです。

実際にコピーをとるのは、会社設立日(=登記申請の日)より、かなり前の日です。

 

しかし、コピーさえとれば、その通帳のお金は、発起人が自由に使えます。

(使ってもよいと言っているのではなく、銀行も法務局も待ったをかけない、という意味です。)

そのため、コピーをとった後に、その資金を個人事業の運営資金に使い果たしてしまう、というケースがあります。

 

結果として、会社が設立されても、売上が入金されるまでの間、活動資金がない。

会社名義の預金口座を開いても、そこに入れるお金がない。

という、悲しい状態になります。

 

出資という行為を経て、会社は設立されます。

設立された時点で、出資金は、維持されている必要があります。

会社設立日とは、法務局へ登記の申請をした日、です。

少なくともその日までは、出資金は維持される必要があります。

 

先述したように、資本金とは、会社設立後、当面の活動資金となるものです。

少なくとも、会社設立までは、使わないでおきましょう。

個人事業の運転資金にまわす、というのは、好ましい話ではありません。

 

会社が設立された後は、自由に使って何の問題もありません。

 

*1

平成18年の会社法施行以前は、設立登記の際に、銀行の証明書が必要でした。

銀行に、事前に出資金を預けて、確かに出資金を保管している旨を証明してもらいます。

出資金は、会社設立後、当該銀行に会社名義の口座ができた後、そこへ払い戻されます。

出資金の払い戻しは、会社設立の日から、1〜2週間後でした。

そのため、会社設立日に出資金を使うことは、不可能だったわけです。

 

設立登記が簡便化された関係で、想定外?の事象が起こっているわけです。

 

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